第66回全日本ベテランテニス選手権大会 観戦記

片岡 洋一(昭和35年卒)


35歳クラスで優勝 歓びの福永俊介選手(平成4年卒)と奥様

10月11日、全国各地を勝ち抜いたベテランの精鋭が名古屋に集い熾烈な戦いが始まりました。我がKUTCから70歳以上で今春の大毎覇者渡辺・佐野組、65歳以上で昨年の優勝者であり、今年の関西オープンを制した南後・猪熊(東大卒)組むがNO.1シードで出場します。

今年はさらに老雄たち(?)を勇気つける若手が出てきました。平成4年卒の福永俊介君です。35歳以上で関東オープン、毎トーに勝ち、NO7シードで勇躍出場です。

ただ残念なのは鉄人石川さんが70歳以上で単複エントリーされながら、先の世界選手権で肋骨を痛められて欠場したことです。

70歳以上渡辺、佐野ベスト8にとどまる
11日初日は70歳以上複1回戦渡辺、佐野が大毎を制した勢いで勇躍登場。対戦相手は65歳以上で4連覇、70歳以上で2勝し、先の世界選手権で団体2位の主力メンバーである今回はNO.2シードの森、宮地組です。
試合前に「現役男子が京大を強打で打ちのめして二部に昇格しました。女子も四部に昇格しました。現役に後押しされています。勝ってください」と気合を入れました。
佐野さんのサービスで試合が始まりましたが、ネット上のボレーの応酬は互角、頭を越されたロブの処理を両軍がいかに対応するかがポイントだが佐野さんの足は今日も元気だ。一進一退でセットオールとなり、いよいよファイナルセット、渡辺さんがベンチに座るや「学校対抗やな」と一言言われたが、負けられないということか。KUTCの名誉にかけて日本一に挑戦する意気込みはひしひしと伝わった。攻めて攻めて打ちまくる雰囲気を感じたが、強打の神戸、今の現役のゲーム展開だ。森、宮地はシードのメンツにかけて必死の抵抗も「気合の入った神戸魂」には勝てず、大事なところで佐野さんのロブも見事に決まり、シードを破った。

準々決勝の対戦相手は辻本・芳賀組。70歳以上ではぴかぴかの1年生だ。渡辺さんは75才以上に出場できる6年生だが気合では若手に負けないぞ。佐野さんのサービスで試合が始まったが、互いに雁行陣を敷いた攻防は見ごたえがある。渡辺さんのフォアの豪打は足元をつき,浮き上がるボールを佐野さんがたたくペースはゆっくりしたリズムの中に得点を重ねファーストセットを先取した。ゲームの流れとは怖いもの。セカンドではロブで体勢を崩そうにも相手の雁行陣はしっかりガードされ、後方陣のラリーも腰が据わっていくらでも返ってくる。セカンドはあっという間にとられファイナルに向かったが、流れを取り戻せず敗退してしまった。 相手は二人ともシングルにも出場しており、ストロークがしっかりしており粘打にやられた。
しかし渡辺、佐野は大毎で川崎、星屋を下し、今回森、宮地に勝ったことは堂々たる三強の一角にあり、次回の雪辱が期待されるところです。

65歳以上南後,猪熊、NO1シード守れず
前年の覇者であり、関西オープンを制し堂々のNO.1シードで登場。
初戦 2回戦の相手は石黒・高橋組、かって全日本王者の石黒も久しく全日本でのタイトルがなく 試合前から随分気合が入り、小刻みに体を震わせ高橋になにやら耳打ちしている。 石黒のうなり声とともに猛烈なフォアのボールもあったが、終始丁寧に足元を突く低いボールで南後,猪熊は揺さぶられた。得意のボレーロブも強い風にあおられてなかなかコントロールがつかない。 2オールまで競ったが、ファーストセットを2-6で失う。 セカンドで高橋、石黒はセット先取の勢いでがんがん打ちだしたからには流れを我が軍に引き寄せられる予感がした。これまで打たれても打たれても跳ね返すしぶとさで相手が辟易して自滅するパターンで勝利してきたのだ。我が軍に絶妙なドロップショットあり、巧妙なロブありで 5−2 としたが、さすが世界の石黒、流れを変えてきた。いきなりロブを混ぜてきた。ロブかと後に体重を乗せると石黒がうなり声を上げての豪打で打ち込まれ、不調の高橋まで調をが戻してしまった。 4ゲーム連取され、5−6と逆転された。 絶体絶命。 南後,猪熊は言わず、すり寄らず、40年来のコンビで踏ん張り6−6まで頑張ったが、残念ながら敗退した。 NO.1シードには惜敗も善戦もない、南後・猪熊の胸中や知る由もないが、この年代は群雄割拠。 誰が勝ってもおかしくない。 次回のご活躍を期待しています。


35歳以上福永俊介君(平成4年卒)見事優勝!
昨日までと違って若いギャラリーがぐんと増えて賑やかになった。
魚住さん(昭33年卒)からメールで送られた旧三商大戦での写真を頼りに1回戦をNO.10コートで待っていたら、福永君が現れた。紹介では優男とあったが、試合前のラリーを見る限りそんな面影は全くない。 今年2部に昇格した現役の男子を評して強打の神戸とあったが、福永君のテニスを見ていると強烈なサービス、ドライブのかかった厚いフォア,バックは地を這うスライスも打つがストレートのドライブがすごくうなずける。
1回戦はサービスが冴えて楽勝。

2回戦の対戦相手山根は甲南大学の同好会出身、荒削りだがパワフルでサービス&ボレーのダッシュにはさすがの福永君もお手上げの場面がいくつかあった。昨日から35才以上を見ているが、球のスピードが速く動体視力の減退を痛感する。
ファーストセット、福永のサービスはいきなりエースでガッツポーズ。 相手はめげずこれもいきなりドロップショットで応酬し、ゲームに波乱が予想される。 しかしサービスが強いのは何よりも強い武器、第1ゲームを先取した。 勢いに乗ったテニスは攻撃的でこの連中にはロビングというショットを知らないのかと思うほど打ちまくり、踏ん張ってのパッシングもライン上を見事かすめる。 昨日から福永君のうなり声と配球のリズムが合いだすと好調な証拠だ。勢い余って転倒する場面もあったが、立て直して6−2で先取。
セカンドは幸先よく第1ゲームを取ったが、こうしたスピードのあるペースで打ち合うゲームは流れの移り変わりがプレーしている者にはつかめないものだ。 攻撃的なボールの攻め際が相手のリズムに合ったのか福永のリターンがネットにかかるのが増えた。めげず頑張るが4−6で失う。 
ファイナルの第1ゲーム、勢いに乗った相手のショットは変わらずコートに炸裂し、福永苦戦。負けるな福永!ここからが神戸大魂の発揮だ! ストロークペースに緩急をつけて流れを変えた、案の定相手は合わされず打てなくなった。 間髪入れず、福永は攻めのテニスに転じた。「やった!」「カムオン!」「いけっ!」の声をだしてはこぶしを握るガッツポーズが格好いい。 4ゲーム連取し、6−2でベスト8に進出。

準々決勝の対戦相手荷川取は金沢八景TCのクラブコーチだそうで、複では3度日本一になっており42歳だが35歳に繰り上げての出場で全日本ベテランの常連だ。
福永は試合前耳にイヤホンを当てなにやら音楽を聴きリラックスさせている。シドニーオリンピックの時の高橋尚子を思い出す。 いい雰囲気だ。
いきなりレシーブエースをとられどきっとしたが、ちょっと反応がよかっただけ。持ち前のサービスは絶好調、今日も第1ゲームを先取した。 相手も然る者でサービスをブレークされ、2−4までされたが、このあとの2ゲームがセットのヤマ場、ストローク戦で打ち勝ち4−4とした。 あとは勢いのなすまま、時折挙る雄たけびがインドアのコートを揺るがした。 スタンドから「いつもの通り攻めろ!」と声がかかるが、神戸の若武者には通用しない。
セカンドセットは福永のサービスは唸りっぱなしで相手はコートをのた打ち回る。6−4−6−1で圧勝、ベスト4進出は先輩たちの悔しさを癒してくれた。

準決勝はNO.1シードのケニー・ジェームス、フォアもバックも極端なドライブで特にフォアの山なりのボールにオーソドックスな福永がどう対応するかが今日の見どころだ。
前夜も遅くまでKUTCのOBから激励のメールが届き、小生ただ一人KUTCを背負って応援しているが、勝つごとに毎朝小生の「観戦記」をメールするのが楽しい。「頑張れ 福永君!」「頼むぞ 福永君!」「神戸の若武者!」
ファーストサービス見事に地を這う勢いでコートに炸裂し、かすりもしないエースで決まる。続いてあっと驚くドロップショット、つづいてネットにつくところパッシングの連発。 ケニー君も「えっ、こんなはずでは・・」と不安のよぎる顔が見える。 ケニーのサービス&ボレーダッシュも冷静な福永のリターンにリズムが合わず容赦なく強打するフォアの逆クロスのエースには身の震える感動があった。 ファーストセットはNO.1シードに6−0で圧勝した。
勝ちを意識したのかセカンドセットでのサービスを始めてブレークされたが、次のゲームでケニーの弾丸サービスを冷静に足元を突く低いボールで出足をくじく、すごい! 5−2とリードしたところでリズムを変え粘りのテニスに変えてきたが、ストロークでは福永に一日の長あり、攻め続けた福永の勝利。
神戸の若武者、決勝に進出!
福永俊介君を応援して5日目になるが、いままでレポートしてきたようにプレースタイルはいつも攻めの気持ちを持って失敗を恐れず打ちきるところにあり、一球に対する集中力は大変なものだと感心する。見ていて清清しいテニスだ。

決勝の相手西村は京都周辺のトーナメントは総なめにしているNO2シードを破った猛者だ。 黒のバンダナをきりっと頭に締め、黒ずくめの衣装はいかにも精悍に見える。 今日は奥様が柏から応援に駆けつけたが何よりも心強い。
ファーストセットが始まったが、ラリーの応酬は一本調子ではない、揺さぶりをかけてくる。
今日は早々と福永のうなり声が高らかに響き、40−40 のノーアド。 ここ一本に強い福永、今日も第1ゲームを先取した、幸先がいいぞ。 多彩なバリエーションで福永の攻めをかわすが、福永に強打を連発され立ち直る間もなくずるずるポイントを失い、西村はフットフォルトも取られなす術がない。
動揺する西村にサービスエースを連発し6−1で圧勝。 優勝へ一歩近づいた、頑張れ、神戸の若武者、福永君!
セカンドセット、福永の強烈なサービスに西村は反応よくリターン、パッシングされたかと思ったボールがなんと捨て身のボレーで相手コートに返った。 ギャラリーも唖然、福永のファインプレーに惜しみのない拍手。 第1ゲームは一進一退し40−40 でノーアド、しかし初めてポイントを取られた。続く第2ゲームもノーアドとなるが勝ち、第3ゲームもノーアド、本人も神経の休まることのない緊張した一瞬だと思うが、ギャラリーもノーアドは息の詰まる思いがする。 西村が2−1とリードしたところで落ち着きを取り戻し、山なりのボールでペースをつくろうとしている。 福永にスマッシュミスが続き、流れは西村に傾き2−6で失い、いよいよファイナルだ。

セカンドとは打って変わって気持ちを切り替えたのか冒頭から攻めて攻めて攻めまくった。西村もたまらずフォアにチョップスライスが増えてきた、防戦一方だ。 福永にスピードが戻った、第1ゲームを先取した、大きいぞ。 西村、果敢にサービス&ボレーでダッシュするが福永の攻めのリターンにたじたじ。
「ヨッシャ」「ヨーシ、カムオン」「ヤッタ」とこぶしを握って気合を入れる。 気合が乗ってきた、うなり声と配球のリズムが合い、ストロークに厚みが出て相手は押された。 とにかく福永の攻めのテニスはすごい、カモボールは必ずエースにするところがすごい。
4−1、4−2、5−2と得点を重ね、、あと1ゲームで日本一だ。 「一本に集中!」と聞こえたが、大きな声で自らを鼓舞した、すごい気迫だ。 西村のネットに出たところを見事なパッシングでゲームセット。 勝った!
日本一だ!おめでとう福永君! スタンドの奥さんのところに駆け寄り熱い抱擁で勝利を祝福したが、ギャラリーも拍手喝さい。
全日本ベテランのシングルでは昭和36年の小寺さん以来の優勝。 渡辺さん、善野さん、南後さんたちと並ぶ神戸大テニス部の誇りです。 これからも日本一の冠を載せてのさらなるご活躍をお祈りしています。

今年は若い選手の活躍で8日間コートに通いましたが、嬉しい疲れです。あとに続く選手諸君のご来名をお待ちしています。

                                                以上 片岡記